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2008年9月18日

[ MEMO ]

ラグビーのくれたもの

熊本県ラグビーフットボール協会の60周年記念事業の一環として発刊された記念誌に寄稿しました。ラグビーを始めた高校時代からこれまでを振り返りながら思い出や想いを書いてみたのでぜひ読んでみてください。


『ラグビーのくれたもの』

NECグリーンロケッツ 向山昌利
 熊本県ラグビーフットボール協会創立60周年おめでとうございます。60年という私の年齢の2倍近い時の流れに熊本県ラグビーの深い歴史を感じ、その長い年月の中幾多の困難や障害を乗り越えられた諸先輩方にプレーヤーの1人として感謝申し上げます。
 私がラグビーという魅力的で美しいスポーツに初めて触れたのは15歳の春、今から17年前の熊本高校に入学した直後のことでした。友人に誘われ何気なく始めたラグビーが私にとってこれほどの大きなものに、人生の大部分を占める存在になるとは当時想像も出来ませんでした。高校時代は毎日チームメイトと勝利を目指し必死に練習し、ゲームでは勝敗に一喜一憂し、チームメイトとともに喜びや悔しさを共有出来た経験は何事にもかえがたい私の財産となっています。幸運にも高校2年生、3年生のときに全国大会に出場し、熊本県代表として戦うことが出来ました。
 特に、2年生時に全国大会2回戦で対戦した大阪代表の啓光学園との一戦は忘れられない一戦です。3-8というスコアで敗れはしましたが、後に準優勝した強豪とほぼ互角に渡り合えたことは、後の競技人生を送る上でも大きな自信になりました。
高校生にとって郷土の代表としての誇りを持って戦う経験は大変貴重なものです。それまで県予選で正々堂々と力を出し尽くし県代表というたった1席を賭け戦った他チームの仲間達、いつも私たちが心地よくプレー出来るようお手伝いして下さる熊本県ラグビーフットボール協会のみなさま、勝利と同じくらいに私たちが怪我無くノーサイド迎える事を願う両親、そして郷土の何万という人々の期待を一身に背負い戦う強烈な経験です。こういった強烈さをくぐり抜け、私はラグビーの魅力に取り付かれ、そして高校卒業後も大学、社会人とラグビーを続け30歳を越えた今も尚プレーから離れられずにいます。
 高校卒業と同時に熊本を離れて同志社大に進学した後は、数多くのチームでプレーしました。日本代表としても活動する機会に恵まれましたが、いつどんな時も私の根底には熊本県代表として戦った高校時代のこの経験が活きていると感じます。それはこの経験のおかげで自分自身のために戦う事が、結局は他の人の気持ちに応える事であると知り、その為には毎日のトレーニングに対して熱く真摯な心で取り組まなければならないと感じる事が出来たからです。そしてそのおかげで日本代表にも選出され、世界の強豪と対戦する機会にも恵まれたのだと思います。
社会人になってからは、自らの幅を広げたいという思いからニュージーランドとイングランドへ1年間の短期留学を経験することができました。それぞれの国のクラブチームでプレーすることを通じ、競技面だけでなく、文化としてのラグビーの奥深さにも気付かされました。
3年前には、帰国後に移籍したNECグリーンロケッツの一員として、県民総合運動公園のKKウィングで催されたトップリーグの試合でプレーする事も出来ました。熊本での試合は10数年ぶりのことでしたが、熊本県ラグビー協会のみなさまには大変温かく迎えて頂きました。キックオフ直前には大きな花束を贈られ感謝の気持ちと少しの恥ずかしさの混ざり合った不思議な気持ちでゲームに挑んだ事を覚えています。トップリーグの試合開催が熊本県で初めてだったということもあり、このサントリーサンゴリアスとのゲームには、「プレーヤーとして熊本県ラグビーに対する感謝の気持ちを表したい」と、テストマッチと同じ熱い気持ちで臨み一生懸命にプレーしました。みなさまに私の気持ちが伝わり、感動して頂けたのなら勝利を上回る最高の想いです。
 このような私のラグビー経験が熊本県ラグビー界にとって、これからお役に立てるのであれば喜んでそのお手伝いをさせて頂きたいと思っています。熊本県ラグビーが全国に発信されること、そして熊本県ラグビー選手の活躍のフィールドが県内や国内だけに止まらず、日本を突き抜け、世界に飛び出すことを強く願っております。

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